大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和29(あ)270 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人Aの弁護人本浄直三郎の上告趣意第一点について。

所論は、原審の支持した第一審判決挙示の証拠中、被告人の検事に対する供述調

書(昭和二七年二月二一日附、同年三月一九日附の二通)について、憲法三八条違

反を主張する。記録を調べてみると、被告人は昭和二七年二月一日逮捕され、次で、

同月四日勾留状の執行を受け、その勾留は同月二二日まで延長され同日起訴された

のであるが、起訴後四回保釈が却下され、同年六月二四日の保釈許可決定により同

月二七日釈放されていることが認められ、この経過において期間の延長はそれぞれ

理由があつて手続になんら違法は認められない。そして前記二通の供述調書はその

作成日附からいつて直ちに不当長期拘禁後の自白とは認められず、また第一審の証

拠調によれば、自白強要があつたような形跡は認められない。ことに記録によれば、

被告人は右供述調書を証拠とすることに同意していることが認められるから(三二

一丁)結局所論違憲の主張は、前提を欠くことに帰し採用できない。

同第二点、第三点について。

所論第二点は、単なる法令違反の主張であつて採るを得ないこと第一点説示のと

おりである。所論第三点は、結局証拠の取捨、事実認定を非難するにすぎず、適法

な上告理由にあたらない。そして第一審判決挙示の証拠によれば、本件各犯罪事実

を認めるに十分であつて、原判決の説明するとおりである。

被告人Bの弁護人松原正交の上告趣意について。

所論は、憲法違反を主張するが、その前提とする理由は、原審で主張なく、従つ

てその判断を経ていない事項であるから、この点において適法な上告理由と認めら

れない。のみならず記録によつて第一審判決挙示の証拠を調べてみると、所論共謀

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による私文書偽造、同行使の事実を認めるに十分であつて、所論の白白のみによる

という非難は全く当らない。すなわち所論違憲の主張の前提たる理由も成りたたな

い。

その他記録を調べても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和三〇年一二月二六日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 小 林 俊 三

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 本 村 善 太 郎

裁判官 垂 水 克 己

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